肝臓病とは


肝 臓 病
肝臓病の食事療法の基本
 
「エネルギーが適正で、栄養バランスのとれた食事」をとることです。
ただ、肝臓病にはさまざまな病態があり、食事のとり方も異なるのでご注意ください。
 
@慢性肝炎
 
普通食を基本にした、バランスのとれた食事をとります。
特別な脂肪制限は必要ありませんが、禁酒を実行してください。
〇朝・昼・タの3食を規則正しく!
〇毎食、主食(こ飯やパン)
〇主菜(魚・肉・卵・大豆製品)1品・副菜(野菜)2品。
〇1日に果物1個、牛乳コップ1杯、油を使った料理2品程度。
〇多種類の食品をとる。
〇アルコール以外の嗜好品も、とりすぎない。
 
 
A脂肪肝
 
肥満が解消できる食事をとります。
〇食事量を標準体重に見合ったもの。
〇食事時間が不規則だったり、早食い、まとめ食いをしない。
〇嗜好品をとりすぎない。
 
Bアルコール性肝障害
 
まず、禁酒を行い、バランスのとれた食事を心がけます。
〇禁酒する。(飲酒を続けると、肝癌になりやすい)
〇慢性肝炎に準じた栄養バランスのよい食事をとります。
 
C肝硬変
 
肝硬変の病態によって、食事療法も異なります。
 
【代償期】・・・重篤な症状がない状態
〇慢性肝炎に準じた食事療法を行います。アミノ酸製剤※1を補給する場合が多くあります。
〇便秘しないよう野菜・海藻・果物をとり、食物繊維の多い食事を心がけます。
〇重症になると味覚が鈍化するため、塩分やエネルギーのとりすぎに注意します。
〇肥満気味であったり、糖尿病がある時も、エネルギーのとりすぎに注意します。
 
 
【非代償期】・・・以下のような症状がある状態
 
@腹水がある場合
〇塩分制限(1日3〜7g)を行います。塩分量は腹水の程度に応じて決められます。
 
A肝性脳症の場合
〇血液中のアンモニアが多くなると、意識障害が起こります。これを防ぐため、アンモニアのもとになるたんぱく質を制限します。
〇不足するタンパク質は、アミノ酸製剤で補います。
〇タンパク質制限を上手に行うため、特殊食品の利用が勧められます。
〇便秘は肝性脳症を起こしやすくするため、食物繊維をとるよう心がけます。
 
B食道静脈瘤
〇食べすぎて、食道を刺激しないようにします。
〇食道の炎症を悪化させる香辛料などの刺激物、固いもの、コーヒーなどを避けます。
 


自覚症状がなくても、異常があれば直ちに療を!
 
肝臓病の多くは、自覚症状がありません。
肝臓は予備能力が大きく、かなり病気が進行しないと症状が出ないのです。
肝臓が“沈黙の臓器”と呼ばれるのはこのため。
たとえ肝臓が沈黙していても、検査で異常があれば、直ちに治療を始めることが必要です。
一口に肝臓病といっても、急性肝炎・慢性肝炎・肝硬変・脂肪肝などさまざま。
原因や治療法も病態によって異なります。
 
わが国では70万人が急性肝炎、130万人が慢性肝炎、30万人が肝硬変、2万人が肝細胞癌にかかっているといわれます。
慢性肝炎の大部分は、B型・C型ウイルスが原因。そのほか、アルコール性肝障害や肥満による脂肪肝、薬剤性肝炎などがみられます。ウイルスが原因の肝炎には、抗ウイルス治療(インターフェロンなど)が行われます。アルコール性肝障害では禁酒が、脂肪肝ではアルコールや菓子類の制限、肥満の解消が治療につながります。
 
 
主な働き


@糖質とエネルギー代謝
食事から取り込んだ糖質をグリコーゲンとして貯蔵。必要に応じてこれをグルコースに変えて血液中へ放出し、各組織でのエネルギー源となります。
@糖質とエネルギー代謝

血液中のタンパク質や、いろいろな酵素を作ります。
タンパク質を分解した時にできる有毒なアンモニウムも解毒。脂肪酸から中性脂肪を作り、組織にエネルギーを供給したり、コレステロールの合成や代謝も行います
Aタンパク質と脂質の代謝
Aタンパク質と脂質の代謝

B解毒作用
体内に生じた毒性物質、外から取り込まれた薬物や有害物質を解毒します。
B解毒作用

コレステロールから、胆汁の主成分である胆汁酸を作ります。胆汁は脂肪の分解を行います。
C胆汁の生成と分泌
C胆汁の生成と分泌

Dビリルビンの代謝
古くなった赤血球からできるビリルビンを水に溶けやすい形にして胆汁に排泄します。
Dビリルビンの代謝



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